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1・2級自動車整備士向け 
インジェクタの逆起電力                        四択問題  
一級小型自動車整備士試験 2005年3月20日 問題8
問題 オシロスコープを用いたインジェクタの点検方法に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

(1) 駆動信号電圧が,ON時約1V以下にならなければ,エンジンECU本体に異常が発生している可能性がある。
(2) 駆動信号電圧が,ONからOFFになった瞬問に約50V以上立ち上がらなければ,インジェクタに異常が発生している可能性がある。
(3) ON時の駆動電圧が,駆動電圧特性を満足していなければ,インジェクタに異常が発生している可能性がある。
(4) 駆動電圧が,ONからOFFになった瞬間に約50V以上に立ち上がっていれば,インジェクタは正常である。


解説
用語を明確化しておきましょう。
駆動信号電圧 「信号」がつくと”制御”ための電圧と理解するとよいでしょう。制御信号であるため、エネルギ(電力)は小さい。エンジンECUの端子の電圧。
駆動電圧 実際にインジェクタ・コイルに加わっている電圧。
エネルギ(電力)は比較的大きい。

 問題の趣旨は、”逆起電力”の電位の方向をキチンと理解しているかどうかです。

 エンジンECU・駆動回路のトランジスタがOnの状態の時、インジェクタのコイルには電磁エネルギ
1

2
Li2[J] L;自己インダクタンス[H]
i;電流[A]


が蓄えられています。

 そしてトランジスタがOffとなると、そのエネルギーを放出しようとするため、インジェクタのコイルの両端には、プラスマイナスが逆向きの起電力が発生します。

駆動信号電圧が12Vのとき、インジェクタ・コイルの@、Aの両端は、@が12V、Aが12Vですから、電位差は12V−12V=0Vです。
このとき、@を+電位としています。
トランジスタがOffのとき、駆動信号電圧はアース端子が基準電位であり端子がプラス電位であるからプラスの逆起電力になります。
このとき、駆動信号電圧端子はインジェクタ・コイルのAと同電位でありかつ、高電位になっていますから、インジェクタ・コイルの@とAの電位差を@−Aとすれば、マイナス電位になります。
状態 off on off
電源 12V 12V 12V
駆動信号電圧 12V 0V 逆起電力
コイル@ 12V 12V 12V
コイルA 12V 0V 逆起電力
電位差@−A 12V−12V=0V 12V−0V=12V 12V−50〜60V=
−38〜−48V

逆起電力が通常電圧の5〜6倍程度ですから、起電力吸収用の部品を用いなくても問題ないでしょう。
実際はコントロール・ユニット内に逆起電力吸収用部品がついています。

リレー・コイルなどの逆起電力は、通常電圧の10倍以上ですから起電力吸収部品が用いられています。

答えは(4)が不適切です。
オシロスコープの接続に問題あり

上の図で用いられるオシロスコープの電源が交流100Vでしたら問題ありです。
オシロスコープのアース端子は、すべてのアース端子と共通なものです。
上の接続方法では、車がゴムタイヤで浮いている電気回路と考えた場合は、支障がないかもしれません。
厳密には、タイヤも導電体であり、リーク電流・漏れ電流があるため、アースの取り方に問題があります。

任意の電位差(この場合は、インジェクタ・コイルの両端電圧)を測定する場合には、オシロの差動モードで測定するとよいでしょう。

(1)@にチャンネル1を接続する(V1
(2)Aにチャンネル2を接続する
(3)同じ電圧レンジにする
(4)オシロのアース端子と車のアース端子とを接続する
(5)チャンネル2を極性反転させる(-V2
(6)入力切替を「ADD」にする(V1+(-V2))=V1-V2
これで任意の二点間の電位差を自由自在に測定できます。

上の問題の回路接続方法は、”邪道”といってよいでしょう。


もし、オシロスコープが交流電源を用いない直流タイプのものでしたら、基準電位の取りかたはサーキットテストとおなじことですから、電位的には宙に浮いている状態です。
この場合は、サーキットテスタのように自由に任意の二点間の電位差を観測することができます。

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